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2013年8月18日 (日)

起業という幻想

この本は、起業というのはほとんどが自営業の事で、
特に儲かっているわけでも、
新しい事にチャレンジしているわけでもないよ。ということ。

たしかによく考えてみるとそうだと思う。
もし簡単に儲かりそうなやり方があるなら、
大きな会社がすでにやっているだろう。

だからほとんどの人は、会社が嫌になって、
ちょっとした飲食店とか個人商店をはじめる。

タクシーとか飲食店とか失業した人が
手軽に始められる仕事として有名だと思う。
そんな事でも、起業は起業の一つになる。

だから、起業する人といっても向上心があるわけでも、
特別な技術やネットワークをもっている人でもない

では、成功しやすい良い起業とは?それは

起業して上手くいくひとは、ちゃんと勉強する。
創業する前に、参入したい業界で就業経験を積む。
ちなみにどの業界に参入するかは大事。

というとても当たり前の事が書いてある。でも、
当たり前の事って無視されがちなので、目から鱗といった感じだ。

ここから導き出される結論は、当たり前であると同時にとても意外な話だった。
それは、政府が規制緩和などをして起業を促しても意味がないって事。

これを聞いて「そんなのおかしい!」って思うかもしれない。
でも規制緩和したら、大手も参入するし、
結局価格競争に巻き込まれるだけ。

大事なのは「新しい価値を生む」って事で、
起業そのものではない。
単純に起業の数を増やすという手段は失敗する

だから、しっかりとした教育を受け、
職業訓練をうけた儲かりそうな事をしている、
起業家に対してちゃんと、資金を提供できるシステムを作らなくてはいけない。

そして、そういった起業家を育てる事も必要。

ちなみにこの本で理想的な起業家像というのは
「より資金が豊富で、株式会社として組織され、
明確なビジネスプランを持っている起業家のチームがフルタイムで働き、
マーケティングと資金のやり繰りを重視し、
一つの市場に集中し、価格引き下げ競争に走らない。
さらに高い教育を受けていて、
これからビジネスを始める産業で働いた経験を持ち、
利益を上げることを目標にしていること」だそうだ

中世について調べていると確かにそうだなぁと思います。
17世紀ごろのオランダでは、
絵の市場が出来て画家という職業が生まれたそうです。
レンブラントとか有名です

画家なんて昔からいたよ!

たしかにそうです。でもそこで描かれる絵は「宗教」や「貴族」が主で、
風景や平民などはいませんでした。

その頃のオランダはとても繁栄していて、
商人がとても豊かだったそうです。
だから、商人でも画家に絵を描いてもらえるようになった。

画家が商売として成立するようになると、
市場が生まれ競争も起きて価格も安くなる。

そのころのオランダは農民ですら家に絵を飾っていて、
異国の人は驚いていたそうです。

市場が大きくなると富裕層向けだった商売が一般人でも手が届くようになって、
さらに一般人も買うようになると沢山作れるようになるから、
安くなる。ちょっと貧しい人に使ってもらえるようになる。

でも、これって起業ではないですよね。

この本によると、アメリカよりも日本の方が起業をした人(自営業)は、
データでは多いのです。

でも、日本ではアメリカのアップルやフェイスブックのような
会社があまり生まれていないような気がします。

それはつまり、日本の経済が拡大傾向にあったから、
単純にのれん分けのように、
同じ事をする会社が分裂していっただけだったのでしょうか。

今まではそれでも、
全体のパイが大きくなっていったので良かったのかもしれませんが、
今では、起業しても過酷な価格競争になってしまう

そうすると起業に限って言えば「規制緩和」って確かにあまり意味ないですよね。

今の世の中ってなんとなく小手先のテクニックがもてはやされるように感じます。
アメリカも状況は同じらしいですが、
「目標をもって勉強して職業訓練する事が、成功への近道です。」なんて事が、
統計をもとに解説されるとすごい説得力です。

なるほど、当たり前だ。でも目から鱗だった。

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