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2013年7月28日 (日)

ダニエル・カーネマン、心理と経済を語る

この本はカーネマンというノーベル賞をとった人の一般向けの本です。

人間は非合理的である。そんな事は当たり前だと思う人もいるかもしれない。

でも本当にそうなのだろうか?
だって人間はこんなに発展した社会を作ったし、いろんな物を作っている。
非合理的な奴にそんなことが可能なのだろうか?
非合理に思えても実は合理的に判断しているのではないか?個人的にはそう思っていた。

このカーネマンさんという人はイスラエル人でユダヤ人だそうです。
戦争では一番のいい人でも完璧ではなく、完全な悪人もいない。
人は一面的ではなく、いろんな見方が出来る。
そんな経験から、「心理学」と「数学・統計学」に興味を持ったそうです。

カーネマンさんは軍隊で兵隊の能力の評価をどう判断するかについての仕事をします。
そこで、「得られた統計」と「事実の観察」は全然違う結果が生まれる。
ということを発見するのです。

「リーダー」として適正があるかどうか!
(ちなみにどんな方法でしらべるかというと
過酷な訓練をさせて本性をあばきだすというもの)と
訓練の結果を統計的に判断された人物が
その後の訓練でもちゃんと「リーダー」としての適正があるかどうかは、
よくわからない。どうも「統計」するのはダメ。

かといって、心理的に「適応者」を探そうとしても、
(やりかたは優れた人物による精神鑑定)
そこで選ばれた「適応者」はその後、
良い成績をあげる事はなかったそうです。「心理」でもダメ。

ならば、どんな方法が上手くいったのか?
それは「心理学的な一連の質問の後に、面接間に直感的に判断させる」だったそうです。
この方法を編み出したのは偶然で、
最初は質問表だけを使って判断させようとしたら、
臨床技術に自信のある面接間に反対されて、
お互い妥協してちょうどその間をとったそうです。

その後、大学時代などのエピソードがあるのですが、最終的な結論は

人間は2つの機能で「直感」と「熟慮」のバランスによって判断を行う。

どんなケースで間違いを犯しやすいかをこの本でもいろんな例が書かれています。

ひとつ非常に興味深かったのが「ピークエンドの法則」というものです。
どんな法則かというと一言でいえば「終わりよければすべてよし」という奴です。
実験では
・60秒間14度の水に手をつける
・60秒間14度の水に手をつける、
さらに30秒間14度から15度へ暖める水へ手をつける。

どちらの方が苦痛を減らせるか?
これは後者のほうが苦痛に感じないそうです。

終わりの時点で始めほど苦痛がひどいものでなければ、
苦痛の時間を減らすことによって全体の評価を改善できる

なるほど、映画にしろ漫画にしろ、
最後はハッピーエンドにすればいいですね!勉強になった。

逆に、不愉快な話を作りたいなら、最後に一番ひどい目に遭わせればいいのか!
確かに「ミスト」とか「ミリオンダラーベイビー」とか後味の悪い映画として有名。

連載物だとどうなるんだろう。

この本を読むと、単純に人が判断をするときは、
「合理的」や「非合理的」だけで判断しているわけではなく、
むしろ判断にかかる時間に大きな影響があることがわかります。
急いで判断して失敗する事もあるし、じっくり考えすぎて失敗する事もある。
よくあるパターンがいろいろ載ってあります。
そういった研究成果の一般向けの本なので、
じゃあどうしたらいいの?的な事はあまりかいてはいないです。
そういった事に答えていくのが「行動経済学」です。
どうしたらいいのについては
「実践行動経済学」という本にいろいろ書いてありましたが
まぁ結局、良い物をデフォルトで選んでもらうみたいな方法が
多いですけど

最後に「幸せという漠然としたコンセプトを最大限に大きくしようとするよりも、
苦痛という具体的なコンセプトを最小限に抑えるという
考え方をする方がより楽に取り組めるのではないだろうか」とあります。

なるほど確かに。何を幸せと感じるかはいろいろですけど、
何を不幸と感じるかは、結構同じですしね。健康や失業や離婚とか

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